2024年6月22日 カテリーナ バンドゥーラの調べ

 6月22日(土)は、陽のあたる道小さな音楽会vol.177「平和への祈り〜カテリーナ バンドゥーラの調べ」でした。

 

 まずは、陽のあたる道には初めて登場のバンドゥーラという楽器、そしてカテリーナさんについて紹介します。

 

【バンドゥーラとは】

 ウクライナでは12世紀ころから使われている楽器で、弦楽器の中ではいちばん多い65本の弦を持ち、重さは約8キロ。ピアノの白鍵・黒鍵と同じ配列で、4オクターブ半の音域をもち、弦は指で押さえることなく爪弾いて演奏します。

 昔は小さな楽器で、弦も12本〜20本くらい、重さも3キロ弱、目の不自由な人が、語りながら弾いていた楽器だそうで、日本の琵琶法師を思い起こさせてくれます。

 

【バンドゥーラの悲惨な歴史】

 1930年代、まだウクライナがソビエト連邦の一部だったころ、国内のバンドゥーラ奏者たちが集められ虐殺され、楽器もすべて燃やされてしまったという悲惨な歴史を背負った楽器でもあります。

 そして現在、ロシアの軍事侵攻によって、また存続の危機を迎えているといいます。バンドゥーラを製作する工場が破壊され、楽器を製作する人たちまでもが、戦争に駆り出されてしまっている現在、これからバンドゥーラという楽器がどうなってしまうのか、カテリーナさんが今一番の心配事だそうです。

 

【カテリーナさんのこと】

 カテリーナさんは、ウクライナのプリピャチに生まれ、生後30日の時にチェルノブイリ原発事故で被災。6歳の時に被災した子供たちで構成された音楽団「チェルボナカリーナ」に入団、故郷の民族楽器であるバンドゥーラに触れ、演奏法・歌唱法の手ほどきを受け、海外公演に多数参加しました。

 10歳の時に日本公演のため初来日したときに日本の素晴らしさに感動し、19歳の時に音楽活動の拠点を東京に移しました。

 現在、日本で活動する数少ないバンドゥーラ奏者の1人として、ウクライナ民謡や日本歌曲を演奏し、数多くのメディアにも取り上げられています。    

 

【コンサートのこと】

「はじめは3日で終わると思っていた戦争がすでに900日。報道も少なくなってきた気がするが、現実は、何も悪いことをしてない普通の人たち、子どもたちが殺され続けている。お母さんは日本に避難して来たが、国に残る姉2人や、戦争に行った従兄弟たちのことが心配」というカテリーナさん。

 そんな想いを乗せて爪弾くバンドゥーラの音色はときに繊細、ときに力強く、カテリーナさんの歌声は、叫びにも哀しみにも似て、心に深く沁みました。

 

 ウクライナ民謡の『しあわせの鳥』からはじまったコンサートは、『川の流れのように』や『涙そうそう』など日本の楽曲もまじえ、ラストの『imagine』まで、これまでよく聴いてきた曲でも、戦禍にあるウクライナの現実を想い浮かべながら聴くと、違った感情が溢れ出して感動しました。

 

 アンコールでは『ふるさと』をアカペラで歌われました。

 

    ♪山は青きふるさと 水は清きふるさと♪

 

    こんな故郷に一日も早く戻れますように。

 

 カテリーナさん、ありがとうございました。

 ご来場の皆さま、ありがとうございました。